悪魔のZ

〜 骨 折 〜





「ワイド&ロー」


すばらしい響きだ。 直訳すると幅広く、そして低い。

そうで無ければ「スポーツカー」とは呼べない…そう言っても過言ではないだろう。

そういった車には実質的な「速さ」を求められるのは当然の事、

見た目の「速さ」も要求される。 その両方を兼ね揃えた数少ないマシン、

それが ”フェアレディー・Z32 ” であるとあらためて言っておこう。



「悪魔のZ・大脱走編」にも登場した我が実家の車庫。

車を入れるとシャッターが最後まで閉じれないという事実は、以前の話のとおり。

たまに、会社の1BOXに乗って帰って来る事も多く、開口部は2.5mある。

シャッターを全開にすると、下ろすときに長い棒を使わないと下ろせない。



あぁ、めんどくさい。



しかし、Zを出し入れする時は1.5mもシャッターを上げておけば十分さ。

半分近く閉じられたシャッターの中からZが出てくる。 カ、カックイイ。

いかにも車という「マシン」がでてくる様に、毎回ほれぼれする。



そんなある休日、嫁とドライブする事に。

何処へ遊びに行ったかの記憶は定かではないが、その後に起こった衝撃的な事は

トラウマの如く鮮明に脳裏に焼き付いている。



夕方、車庫に帰ってきた私達。 車庫内は非常に狭い為、嫁には先に降りてもらう。

私は車内よりシャッターを見る。 フム、出ていった時と同じ開口部の大きさだ。

いつもの様に出て行き、いつもの様に帰ってくる。そしていつもの様に車庫入れ。

なんて事はない、日常の光景だ。

カーステレオからは軽快なポップスが流れている。

アクセルを操る右足も音楽にのせられてか、軽快だ。

以前、「涙に濡れた〜編」では嫁に(当時は彼女)に格好悪い所を見せている。



「車庫入れの上手な男の子はモテる!」



今回、またそんな記事を思い出す。「(いっちょイイ所を見せるか)ニヤリ。」

「さぁ、降りてくれ。」

嫁を降ろし、ギアをニュートラルからバックギアへ。

「ガコッ」「ブオン、ブオン…」

その時、嫁がトーシロな一言を私に向かって言う。



「ちょ、チョット! シャッター低すぎへんか??」



マッタク…これだからトーシロは困る。フェアレディーというものが分かってない。



「あのなぁ〜、Zはワイド&ローなんじゃ!! ヴォケ────!!」

「この低さでも十分入るから黙ぁーって見とけ!!」(THE・亭主関白)





ブオン、ブオ──ン、





ガシャン、





ポキン。













「ぽ、ポキン!?」











おそるおそる車から出て見た光景は…

ド真ん中で見事に骨折したアンテナがプラーンと。





俺 「ア、アンテナが─────!!」



嫁 「おっ、新型のダイバーシティやな。」



電波ようけ拾うってか、ヲイ。



(つづく…)











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